平成28年度卒業証書・学位記授与式式辞

皆さん、ご卒業おめでとうございます。青森県立保健大学は、本日ここに、平成28年度の学部卒業生233名、博士前期課程生7名、博士後期課程生3名に、卒業証書・学位記を授与いたしました。本学の教職員を代表して、心からお祝い申し上げます。また、今日まで皆さんを慈しみ育み、卒業を心待ちにしていたご家族の皆様におかれましてはさぞやお喜びのことと存じます。おめでとうございます。また、設置者であります青森県知事をはじめ、ご臨席賜りましたご来賓の皆様、ご指導ご支援いただきました方々に感謝申し上げます。ありがとうございました。

 

さて皆さんはスイカズラという木を知っていますか? 又の名をニンドウ「忍冬」といいますが、冬を忍と書いてニンドウと読みます。この木はどんなに雪深い中にあっても緑の葉のままに冬を耐え忍ぶことから、この名前がついたといわれます。

 

本学で過ごした間には、いろいろなことを経験したと思いますが、スイカズラが緑を絶やすことなく冬を忍び、花をさかせるように、皆さんの中にある「ケアする心」を絶やすことなく持ち続けてきたことが、今花咲こうとしています。

 

スイカズラの花は決して華やかではありませんが、たいへん個性豊かな花を咲かせます。この場から皆さんを見ながら、見事に咲いた一人一人のオンリーワンの個性豊かな花を思い描かずにはいられません。

 

本学はヒューマンケアを実践できる人材を育成することを目標にしてきました。医療人類学者であるアーサー・クラインマンは、ケアをすることは、すなわち「より人間らしくなる旅である」と言っています。あなた方がここで過ごし、得たことは、かけがえのないものであり、これからの人生を歩んで行くとき、多くの知恵を生み出してくれることでしょう。あなたが成長することが、よきケア提供者になることにつながります。人が健やかであることがどんなに貴重なものであるか、そして健やかであることを支えることの大切さを、あなたの成長とともに、後輩に、未来の子供たちに、伝えていってほしいのです。

 

本学では今年から正式にアカデミックガウンを着用することといたしました。これは、卒業生の皆さんに、学問を修め、学位を取得することへの自覚と責任をもって、専門職業人として活躍してもらいたいという思いから、導入したものです。ウィリアム・オスラーは「Practice is an art, based on science.」と言っています。すなわち専門職の実践は、科学に裏打ちされたものであることを意味しています。あなた自身が考えること、深く考えて皆さん自身でよりよき道を探すことこそ、学問を探求することにつながります。

 

さきほど、角帽についたタッセルを右から左へと移しました。そして卒業証書・学位記を手にした皆さんは、学士の学位を持った一人として、今日ここに旅立つことを意味しています。タッセルの色は学科のシンボルカラーを用いています。皆さんの専門分野にどうぞ誇りを持って、ヒューマンケアを必要としている人たちに尽くしていってほしいと願っています。

 

大学院博士前期課程、博士後期課程の修了生の皆さんは、ガウンにフードを着用しています。そして紫のカラーは大学院のシンボルカラーです。また、タッセルはすでに学士の学位を持っているということで、最初から左側にあります。研究者、教育者として、そして保健医療福祉のリーディングパーソンとして貢献していくことを心から期待しています。

 

英語では卒業式のことをCommencement Ceremonyといいますが、commenceすなわち「始める、開始する」という動詞から来ており、一つの終わりはまた新しい始まりに繋がっていくことを意味しています。本学の校歌である“新たな未来へ”は、「さあ、今始まる 終わらない旅路 「希望」へと向かう心は 新しい日を創る」という歌詞から始まります。未来へむけて旅立つために、「希望」という心があれば新しい日を創っていくことができると詩っています。サヨナラではなく、あなたが次のステップに進むべき時が来たということです。校歌の最後は、「どんな時もずっと 忘れない 出逢えた奇跡を」と結んでいます。

 

みなさんが希望をもって未来に進んでいくことを、応援しています。

 

平成29年3月9日

公立大学法人 青森県立保健大学

理事長・学長 上泉 和子

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