ヘルスリテラシーとは
ヘルスリテラシーとは
- ヘルスリテラシーとはなんでしょうか?
- ヘルスリテラシーはなぜ重要なのでしょう?
- 健康に関する情報はどこから得ればよいのでしょうか?
1.ヘルスリテラシーとはなんでしょうか?
どなたも、自分の健康が気になって情報を求めようとしたことはあると思います。
特定の病気で通院していない人でも、例えば、感染症が気になるので予防したい、あるいは自分の症状(「だるい」「腰が痛い」など)は病気なのか、病気なら何の病気なのか、このサプリは本当に効くのだろうか…などなど。
それを知ろうとして、知人や詳しい人に聞いたり、自ら本やインターネットで調べたりするかもしれません。そのような場合、現在では、情報はあり余るほど探すことができます。
ただ、どれが自分に合った正しい情報なのかという点はなかなか難しい問題です。
やみくもに探しても情報の海に溺れてしまいそうです。
探し方も大きな課題です。
さらに、その結果を理解し、評価して、しかも適切に使うのは簡単ではありません。
何らかの慢性疾患で通院している場合は、医師、看護師、薬剤師などの医療従事者から情報を得ることができるはずです。
しかし、疑問に的確に応えてもらえる状況を常に得られるかというと、診療の場でコミュニケーションが十分とれないなど、意外と難しい場合も多く、その場合はコミュニケーションをどうとるべきかという問題が生じます。
対人的な場合であれ、書物やインターネット検索の場合であれ、健康や疾病について、情報の入手から活用までの一連の行動にはそれなりの技量が必要です。
そのような技量、能力をヘルスリテラシーと呼んでいます。
リテラシーという言葉は、もともとは、簡単に言うと、文字の読み書きの能力を指します。
そこでヘルスリテラシーを簡単に言うと、「自分にあった健康情報を探して、わかって(理解し、評価した上で)、使える力」ということになります。
それを適切に身に着けることで、医療や介護、病気の予防、健康の維持や増進についての判断・意思決定がしっかりできるようになり、生涯にわたり生活の質を保ち、向上させていくことにつながるでしょう。
このヘルスリテラシーという言葉は1990年代からさまざまに定義されてきましたが、ソーレンセンらが2012年にヘルスリテラシーの様々な定義やモデルをレビューし、共通項を定義化したものがよく使われますので、それを示しておきましょう。
2.ヘルスリテラシーはなぜ重要なのでしょうか?
ヘルスリテラシーは個々人にとっては、その人の生命や生活の質(QOL)の維持・向上に大変重要です。
ヘルスリテラシーが低いことにより、疾病にり患したり、生命が脅かされたりすることは、実は頻繁に見られることで、ありふれた現象でもあります。
参考
ヘルスリテラシー関連事例を見てください。
わずか4例ですが、よく見受けられる、あるいは、そうなる可能性のある事例を提示しました。
そのどれかで、ご自分やご家族の経験の中に、何かしら共通の問題点を思い浮かべる人は多いのではないでしょうか。
あるいは、自分はこのような例とは無縁であるといえれば、それは大変望ましいことです。
事例に示したようにヘルスリテラシーは個々人の病気の予防や管理など健康全般に重要ですが、地域全体でみると、その住民のヘルスリテラシーを向上させるということは全体の健康を守るということにつながり、地域の保健・医療・福祉の重要な課題でもあります。
この語がよく使われるのは、むしろこの文脈で、ヘルスリテラシーは健康政策の一環で重要視されています。
青森県でも、「健康あおもり21」でヘルスリテラシーの重要性を唱っています。
そして、「健やか力」というネーミングで、その向上を図っています。
〔参考〕ヘルスリテラシーの関連事例
3.健康に関する情報はどこから得ればよいのでしょうか?
健康や病気に関する情報は現在では、インターネットを通じて豊富な情報があふれています。
そこには証明された医学的事実から、かなり怪しい主張まで千差万別の情報があり、なかなかどれを信じてよいのか、分かり難い状況となっています。
臨床の現場でも、事例2のように、ヘルスコミュニケーションが不十分となっている事態が日常的に起こっています。
健康に関する情報は実はかなり難しいのです。
医学的にもわかっていないことも多く、さまざまな研究によって、医学的事実も日々更新されていることも大変多く、それも情報の真偽を分かりにくくしている原因です。
また、例えば多量飲酒は健康を損ないやすいと言えても、人により飲酒の影響が異なり、「それが食道がん発生にどれだけ寄与するか」などといった問題は、結局は確率的な問題となりますので、その意味をわかって、情報を読み解くのはそう容易なことではありません。
そのような状況からは、臨床の現場以外で情報を得るには、変化にいち早く対応できるインターネットの健康情報を得ることが最善といえるでしょう。
ただし、「もし信頼できるものであれば」という前提が必要です。
そこで、ここでは、信頼できる情報を載せているサイトの一部を選んで挙げておきます。
病気を予防したい方や、また通院しているが、医療従事者からの情報以外にもっと知りたい方にも、参考になるでしょう。
リンク集
ヘルスリテラシー全般
ヘルスリテラシー「健康を決める力」
聖路加国際大学の中山和弘先生(看護情報学)が運営されているサイトです。ヘルスリテラシー全般について詳しく知ることができます。インターネットを利用して健康情報を得ようとする場合の指南を得られます。
http://www.healthliteracy.jp/
医学百科
MSD 『メルクマニュアル医学百科家庭版』
製薬会社のサイトですが、世界的に定評のある医学書+家庭版を載せています。まさに百科として使えます。症状から調べることもできるので、その点も便利です。
http://www.merckmanuals.jp/home/index.html
疾患全般
Minds医療情報サービス(『メインメニュー』にマウスを当て、メニュー表示を)
厚労省の委託研究の成果で、診療ガイドラインを疾患ごとに登載しています。一般向けの解説もあります。
http://minds.jcqhc.or.jp/n/
日本臨床内科医会 『わかりやすい病気のはなしシリーズ』
上記学会で出している、一般向けの疾患解説で読みやすいものです。
http://www.japha.jp/general/byoki.html
NPO標準医療情報センター
主として学会の診療ガイドラインを医師が一般向けに分かりやすく書き直したもので、専門的な内容をわかりやすく伝えています。
http://www.ebm.jp/pages/list.html
日本医療・健康情報研究所による『病気別BEST100サイト』
民間のサイトですが、各病気を定評のあるしっかりした解説のサイトにリンクさせたもので、信頼性が置けます。情報量も多いです。
http://mhlab.jp/best100/
がん
国立がん研究センターがん対策情報センターによる『がん情報サービス』
がんであれば、ここがまずもって代表格で、豊富な情報が得られます。予防についても根拠のあるデータを用いて解説しています。
http://ganjoho.jp/public/index.html
難病
難病情報センター
全ての難病につき解説してあります。難病の方、可能性のある(と診断された)方にとっては訪れてもよいサイトでしょう。
http://www.nanbyou.or.jp/
薬剤
独立行政法人医薬品医療機器総合機構 薬剤情報
薬について、まず何でも載っていますので、薬について疑問や興味のある方は見てください。
http://www.pmda.go.jp/pnavi-01.html
こころの病
厚労省 『メンタルヘルスの扉 こころの病気を知る』
http://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/index.html
感染症
厚労省 『感染症情報』
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/index.html#contentsInner
国立感染症研究所 『IDWR感染症の話』一通り
http://www.nih.go.jp/niid/ja/from-idsc/216-kansen.html
さらに詳しく、医学・医療全般
国立国会図書館 リサーチ・ナビ『医学・疾病について調べる』
上記以外、もっといろいろ知りたい方は、ここです。本の情報も載っています。
https://rnavi.ndl.go.jp/research_guide/entry/post-479.php
青森県関連
青森県の情報サイト
・青森県は「健康あおもり21(第2次)」でヘルスリテラシー向上を推進しています。
http://www.pref.aomori.lg.jp/welfare/health/21keikaku.html
・県内全市町村の特定健診や特定保健指導についての相談窓口はこのサイトのリンクで。
http://www.pref.aomori.lg.jp/welfare/welfare/kenshin.html
・「青森県がん情報サービス」では、がんに関するさまざまな情報とともに、相談窓口や市町村のがん検診に関する情報も提供しています。
http://gan-info.pref.aomori.jp/public/
・禁煙医療機関および未成年者の禁煙相談実施医療機関の紹介を行っています。
http://www.pref.aomori.lg.jp/welfare/health/tabako.html
http://www.pref.aomori.lg.jp/welfare/health/miseinenkinen.html