地域貢献活動の推進〈アドバイザリーボードの設置と活用〉

本学では、地域で活動されている方々と学生、教職員との「コラボ力」を高めるため、地域における有識者からなる「地域貢献活動アドバイザリーボード」を設置しています。
 

年2回の懇談会を設け、大学が設定するテーマにより、大学の地域貢献活動に関する報告や意見交換を行い、活動推進の示唆を得る機会としています。

 

懇談会の様子

令和4年度第2回懇談会(令和5年3月24日開催)

 テーマ「災害時における地域貢献活動のシステム構築について」

本県における令和4年8月の豪雨災害は、県内各地域に甚大な被害をもたらしました。

本学では、学生・教職員から緊急にボランティアを募り、被災地域への派遣・支援を行ったところです。

日ごろから災害に備え、ボランティア派遣がスムーズに行えるような支援体制の構築について、実際にボランティアに参加した教職員の声を交えて、意見交換しました。

 

プログラム

1 趣旨説明

2 アドバイザー自己紹介・近況報告

3 大雨被災地支援実施報告(事務局から)

4 参加教員からの報告・今後の展望

5 意見交換

6 まとめ

 

令和4年度アドバイザー(敬称略)

所属等

氏名

社会福祉法人宏仁会 理事長

長根 祐子

NPO法人子育て応援隊ココネットあおもり 代表理事

沼田 久美

あおもり「杖なし会」 会長

佐々木 弘

あおもり健康づくりリーダー会 会長

山村 邦弘

青森県重症心身障害児(者)を守る会 会長

谷川 幸子

公益社団法人認知症の人と家族の会青森県支部 世話人

鷹架  剛

株式会社ツクリダス 代表取締役

千葉  武

けやき町会 副会長

川嶋 尚孝

青森スポーツクリエイション株式会社 専務取締役

鹿内 龍治

 

参加教員からの報告等では、以下のような報告や提案がありました。

・大雨災害を受けた鰺ヶ沢町において、看護学科保健学コースの4年生4名が町の保健師と共に住民の家庭を訪問し、健康観察を行った。参加した学生からは、貴重な体験から多くの学びを得られた様子が伺えた。

 

・今後、ボランティア派遣がスムーズに行えるような支援体制を構築していくにあたり重要なことは、意思決定及び情報提供・集約のスピード感、支援に行きたい気持ちを叶える時間・金・物・人、相談・調整窓口の明確化、移動手段の確保、地域や人とのつながりを大事にしたいという気持ちの醸成である。

 

・仕組みづくりの課題は二つあり、すぐに派遣できる瞬発力と、参加者への事前の準備・教育かと思う。熊本地震被災地でのボランティアでは、ピースサインで記念写真を撮ったり、個人情報を不用意にSNSで書き込んだりという倫理面での問題が多かったという。

 

・地域の方々と平時から交流し、危険個所や避難場所・経路を確認したりといった繋がりが、いざというときに役立つ。

 

・学生は、ボランティアに対するモチベーションは決して低くないが、きっかけに出会えていないというところかと思う。

 

・災害支援ボランティアの推進には、まずはフットワークとスピード感が大切。そのためには、システム構築が不可欠であると思う。

 

・当時、大雨被災地支援のニーズ把握のために、県社協に問い合わせたところ、重機や軽トラックが欲しいという要望もあったが、病院や施設等で働く専門職者も自分の家のことで大変な状況なので、お手伝いができる学生は大歓迎とのことであった。

 

・りんご農家の方とお話していると、被害による生活保障(税金や社会保障の減免・免除、どういう補助金が使えるか等)については、社会福祉の領域から、学生でも役に立てるのではと思った。

 

・本学での仕組みづくりについて、事前登録制で、登録しっぱなしということではなく、年2回程度学ぶ機会を設けたり、地域の方々と一緒に活動したりする機会があれば、システム化するだろう。

 

 

アドバイザーからは、以下のようなご意見をいただきました。

・保健大学という響きでどんな授業をしているかイメージはできるが、具体的な中身は分からない。地域と一緒に活動していくにあたっては、こんな授業をしているということもアピールしていってほしい。

 

・栄養学科の学生にも、調理の実践の場として参加してもらってはどうか。

 

・仮に災害支援ボランティアを単位化するのであれば、精神面や倫理面を学ぶ事前講義を行う必要があるだろう。非日常の環境で騒いでしまうといった倫理面の問題は確かにあるが、若者と関わるだけで元気や勇気が出る。

 

・日常的にも、地域に助けられて、学ばせてもらっていると実感させることも大切。

 

・ボランティアは、基本的に手弁当。準備に一番お金のかかる部分を大学が負担したり、事前準備のチェックリストを作ったりといった支援が必要だと思う。

 

・平時は暮らしを豊かにするサービスを提供し、災害時にも役に立つというハイブリッドな仕組みが良いのかなと思う。ボランティアは地域活動の一環であり、楽しいときもある。民間企業と連携することで、食糧やグッズ、保険等とつながってくる可能性がある。このようなプラットフォームを作ることによって、持続可能な体制ができるのではないか。

 

・今回のように災害に特化した、非常時にすぐに動けるシステム作りは大切だと思う。

 

・普段から、訓練として動く機会を作ることは大事。また、単位だけでなく、専門職として従事する前から、現場を体験できるという学びの面をもっとアピールすべきと思う。

 

今後に向けて

今回の懇談会でいただいた貴重なご意見等を参考に、令和5年度はシステム構築のための具体的な検討をしていきます。地域を愛し、地域に愛される大学を目指して、今後も地域貢献活動の推進に取り組んで参ります!